「お前たち、その、捨てられた子犬みたいな目で見るのは止めなさい」
少し身を引いて距離を置こうとするミオを許さず、俺とレスニーは両側から詰め寄った。
「だって、ミオが俺たちを置いて行くって言うから・・・」
「そうだよ。俺たちを捨てて、日本に行ってしまうなんて・・・!」
レスニーが拗ねたように唇を尖らせる。
俺にはわかる。あれは、ワザとだ。ミオの気を引くために、レスニーはよく拗ねたふりをする。
レスニーにミオを取られないように、俺も泣きそうな顔をしてみせる。
本当に、泣きたいくらい寂しいから演技なんかじゃない。


ミオが大怪我を負って軍を辞めて以来、半年以上アメリカを離れることはなかったし、
危険の伴う前線での仕事からも遠ざかっていた。
なのに、日本の国会議事堂警備隊の副隊長として正式に就任したという。
俺たちは、その話にショックを受けた。ミオを俺たちのガードなしに、遠い日本に行かせるなんて。
それも、たった一人で!
「とてもやりがいのあるいい仕事なんだ。時々は帰ってくるし・・・」
俺たちの反応が予想以上だったのか、ミオが困惑して眼鏡のフレームに指を伸ばした。
やっぱり、全然分かっていない。
俺とレスニーは目を見交わして、息を合わせてミオの両側からまくしたてた。
「日本のG・D副隊長といったら、エリートだからね。いろんな女性が集まってくるよ。
心配でたまらないんだ。」
「俺たちのミオに、地位と名誉が目当ての女性が群がってくるなんて!」
「そう、それに、きっと日本の政治家がミオに目をつけて、娘の夫にしたいなんて
言い出すに決まってるよ!」
「ミオは優しいから女性を邪険になんかできないじゃないか。俺たちが傍にいたら絶対に、
そんな女性なんか寄せ付けないのに!」
「馬鹿なことを言っているんじゃない。そんな女性がいるわけがないだろう」
「NO!!ミオは自分の魅力を知らないから、そんなのん気なことを言ってるんだ」
そう、いつだって、ミオは自分の魅力に無頓着で、俺たち心配をあっさりと笑い飛ばす。
もしかしたら、ミオにとって俺たちはまだ隣に住んでいたころの、幼い幼馴染の少年でしかなくて、
そんな俺たちがミオを心配して一人前の口をきくのがおかしいのかもしれない。
懐いてくる俺たちが可愛くて、わがままを聞いてやっている程度のことなのかもしれない。
だけど、ミオ、もう俺たちは子供じゃなくなったし、ミオに対する気持ちも兄に対するようなものじゃない。

「弟みたい」と紹介されるような曖昧な関係のままで、ミオが遠くに行ってしまうなんて不安だった。
お願いだから俺たちが知らない間に、誰かのものになってしまわないで。
「お願いだから、誰のものにもならないでミオ」
自分よりひとまわり以上も小さい身体にすがり付いて、ミオの優しさにつけこむ。
ミオは俺たちに甘い。そのことを知っている俺たちは、いつも子供の顔でミオにすがりつく。
ミオは決して俺たちを退けたりはしないから。
「俺たちより大切な人を作ったりしないで、ミオお願い」
レスニーの震える声が聞こえる。俺たちはいつも一緒で、ミオを大好きなのも、ミオにすがりつくのも一緒だった。
ミオと俺たちのトライアングルが心地よくて、いつまでもこのまま続けばと思っていたけど、
もうそんなものでは足りないんだよ。抱きすくめて、キスをして、もっとひとつに解け合いたい。
悦びを分かち合いたい。もう、 俺のものになってしまってほしい。

ミオは自分より大きい俺たちにしがみつかれていても、背筋をピンと伸ばしてゆるぎなくたっている。
頭をなでるミオの手は優しくて、それだけで何もかも許されるような気がする。
ミオの強さ、ミオの優しさ。子供の頃は、全部俺たちのものだった。どんなに番組や映画でほめられても、
どんなにちやほやされても、ミオがほめてくれる方が何倍も誇らしかった。確かにあの頃のミオは俺たちのものだった。
それなのに・・・。いつの間にか会えない時間が増えていき、ミオの話の中に知らない名前が混ざり始める。
俺たちの知らない場所で、俺たちの知らない奴と一緒に笑って、いつか俺たちより大切な人を見つけるかもしれない。

イヤだ!
そんなこと、絶対に認めない。
我慢できない!
俺たちはあらゆる方法で、ミオを俺たちに縛り付ける。
「ミオ。お願いだから、ずっと俺たちを見ていてよ。俺たちのミオのままでいて」
ミオは困ったような顔をしながらも、俺たちを二人とも抱きしめて「シアとレスニーが一番だよ」と約束してくれる。
ミオの腕の中は安心できる。たとえ、半分だけだったとしても。
 
ああ、レスニー俺たちはもっと話し合わなきゃいけない。
ミオについて、ミオとの関係について。俺たちの愛について。
レスニーもまたミオを愛していることは間違いない。
レスニー、お前のことは愛しているが、ミオをお前に譲ってやることはできない。
それは、お前も同じ気持ちだろう?
俺たちは新しい関係を築いていくべきだと思う。ミオを完全に手に入れるためにも−−−。

意識しないままにミオを抱きしめる力が強くなる。
「二人とも、いい加減に離れなさい」
ミオに促されて、しぶしぶ腕を緩める。よほど情けない顔をしていたのか、ミオは優しく笑って俺たちの頬をなでてくれる。
そのミオの手を捕まえて、手のひらにくちづけを落とした。
「ミオに俺たちからのプレゼントがあるんだ」
俺はミオの左手を取ると、その薬指にシンプルな銀色に輝くリングをそっと嵌めた。

リングを嵌める指が震えていて、自分が舞い上がっていることに気付いた。
レスニーからこっそり脛を蹴られたが気にならなかった。
ミオに指輪を用意したのは二人だけど、ミオの薬指に嵌めたのは俺だ。俺にとっては、ものすごく意味がある。
「俺たちのミオに、誰も寄りつきませんように」
レスニーがミオの手を取り、祈りを込めて指輪に口付ける。
いくらレスニーといえど、ミオの腰を我が物顔でホールドしているのは気に入らないが、
指輪を嵌めさせてくれたことを思えば目を瞑るべきだろう。
ミオはさすがに驚いたように、自分の左手の薬指に嵌められた指輪を見ていたが、ひとつ苦笑をこぼして
「ありがとう」と俺たちを抱き寄せた。
この指輪は、カムフラージュなんかじゃないからね。俺は、本気の気持ちをこめて指輪を嵌めたよ。
ミオ−−−、愛している。
永遠に、愛し続けるよ。

俺の、ミオ。






                                            
                                                 














<2007.06.16/dd より>
とうとう頂きましたvv tatanさんのss♪
 そして・・・・も、萌えさせて頂きました!合掌。
この・・・何とも言えない甘いシアが・・・溜まらんっvvvvvv シアに、悶え萌えっす!!

あぁ、tatanさん・・・・私達も。もっと話合わなければならないっすよーーーっvvvvv(←そういう病気か?)

いやいや、でもでもでも・・・・・こんな素敵ssを 本当にサンクスベリーvvv

 

そして・・・・諦めないので!! どうかひとつ、前向きに!!!!! 
もう、何でも言ってーーーっvvv (いや。ムリは、無理やけどね。小さいカテゴリーの住人なんで・・笑)